ソウルシャッドは、前々から「加藤さんこんなシャッド作ってよ！」という山木プロの要望をかなえる為に作ったルアーだ。だいたいどんなルアーを作って欲しいかは、想像はついていたがじっくり話を聞いてみると、とにかく高速で引いても真直ぐ泳ぐもの、水深が2mくらいまで確実に入るもの、大きさは60mmくらい、そしてロングキャストができるもの、ということだった。この要求だけを満たすのであれば、クランクベイト用のリップに近い形状のリップを付けた、太短いシャッドを作ればいいのだと簡単に思った。
しかし、触れたような当たりを取りたいとか、ジャークしたらイレギュラーなアクションもするのが良いとか山木プロの要求は増え続け、こうなると急にルアーを作るのが難しくなった。「おまえそんなの作るの難しいじゃん」と言っても「そこをなんとか」ってね・・・。なぜ難しいかというと、触れたような当たりを取る為にはルアーは細身になる。すると飛距離が落ちる。イレギュラーなアクションを求めれば高速で引くと真直ぐ泳がなくなる。どちらかを取ればどちらかが駄目になるという関係にあるからだ。「無理」と言う私に「そこをなんとか」という会話を何度もした。そしてサンプルをいろいろ作っていくがなか中で、2年ほど前に作ったシャッドを思い出して水槽で引いてみると、これが思いのほかいけている。実はそのシャッド、3Dプロットする時にデーターを入れ間違えて作ったサンプルだったのだ。山木プロに見せると「できんじゃん！」。あっけなくシェイプ&アクションの方向性が決まった。
いつもじゃないけれど、こんな時もあります、ルアーができる時って。後は、機能を上げる為にマグネット式の重心移動を搭載したり、フックの仕様を変えるなどして、完成度を高めて出来上がったのがソウルシャッドなのだ。正直ソウルシャッドは私が作ったルアーの中でも最上位ランクに入る釣れるルアーだと思う。